電力のピークカットとピークシフトを行うための処方策

アメリカの電力業界では以前から使用されてきた概念である「デマンドレスポンス(Demand Response)」とは、電力の需要と供給を同じくする「同時同量」を達成する際に発電側が供給量を増やして需要に対応するのではなく、需要側の電力消費を抑制することにより対応しようという諸方策のことを指しています。

強制的な節電に疑問を投げかける専門家もいます

スマートグリッドで様々なIT技術を活用することで、デマンドレスポンスの実現ができるようになったため、近年改めてこの概念が注目されるようになって来ました。デマンドレスポンスはピーク時間帯の電力使用を減らす「ピークカット」と、ピーク時間帯の電力使用を他の時間帯に移動させる「ピークシフト」を行うための方策だともいえます。

電力会社は電力消費がピークに達する時間帯の需要に合わせるためにスポット市場で高い値がついた電力を購入したり、発電所を増設するなどコスト面で大きな負担を抱えています。企業や家庭での電力使用を抑制できれば、ピーク時の発電を減らすことができます。すなわちピークカットは電力の総消費量を減らすという選択肢です。

一方のピークシフトは電力の総消費量を選らすのではなく、利用する時間帯をピーク時から非ピーク時にシフトさせることにより電力会社の負担を減らそうというものです。

デマンドレスポンスはDemand Responseの頭文字をとって「DR」と略されて使用されます。DRには需要側が協力することで行うタイプと、電力会社が発動するメカニカルなタイプに分けることができます。

後者はスマートメーターを活用してアメリカで広く実施されています。具体的には夏の暑い日にエアコンなどの使いすぎで緊急事態的な需給逼迫が生じた場合、電力会社は館内の家庭に設置されているスマートメーター経由でDRを実施するようにアラートを送信します。

スマートメーターはこれを受けて、管理しているDR対応家電に運転を控えるように指示を出します。広範囲の家庭でDRが実施されれば、需給逼迫を脱することができるというわけです。

電力会社がいくら切迫した状態を訴えても、全ての消費者が状況を理解して節電をしてくれるわけではありませんから、こうした半ば強制的なDRは一般世帯で有効だといわれています。

ただし、いくら需給が逼迫しているからといって強制的なDR導入は「いかがなものか」的な意見やDR対応家電の購入費は誰が負担すべきなのかという疑問もあります。