再生可能エネルギーの導入を推進するアメリカやEU(欧州連合)

日本よりも早く「スマートグリッド」という言葉が使われるようになったアメリカでは、「エネルギー自立・安全保障法(Energy Independence ande Security Act of 2007)」とう法律があります。これは国内のエネルギー効率を向上させ、再生可能なエネルギーを導入することによって、政情不安が続く中東から諸国からの石油湯中の割合を減らし、国内の石炭や天然ガスを長持ちさせることにより、国家の安全保障レベルを保持しようというエネルギー政策です。この法律の柱となっているのが、ほかならぬスマートグリッドの推進です。

オバマ政権が勧めるエネルギー政策

オバマ政権はリーマン・ショックに端を発した世界的な経済不況から米国経済を脱出させるため2009年2月に「米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009)」のなかでさまざまな政策を示しています。

全予算3,110億ドルの内、375億ドルがエネルギー分野に割り当てられており、「エネルギー利用効率の上昇」と「再生可能エネルギーの導入促進」に焦点が当てられており、スマートグリッド関連には110億ドルという巨額の予算が付けられてました。

スマートグリッドの推進プロジェクトでは、これまで以上に効率的な電気を送るようにするため送配電の設備を更新・増強することが盛り込まれています。そして、自然エネルギー(風力・水力・太陽光発電)の導入を拡大する一方で、エネルギーを効率的に消費するために需要自体も制御することを目標としています。

EU(欧州連合)では2006年に出された報告書のなかでスマートグリッドのビジョンと実現に向けた戦略が示されいます。そのほか、中国を中心としたアジア諸国、中南米や中東、アフリカといった送配電の整備が未だ十分でない国々でも安定した効率の高い配電系統の構築に向けて、スマートグリッドを導入しようという機運が高まっています。

お隣の韓国では電力供給の全てを韓国電力公社が行っており、日本と同等の送配電系統の信頼性を誇り、アメリカのような電力のピーク需要対応問題などはありませんが、風力発電や太陽光発電にも熱心で、これら再生可能エネルギーのコストを全ての利用者で広く薄く負担するという「固定価格買取制度」も導入されており、この分野では日本よりも進んでいるといえます。

2010年からはアメリカと共同で済州島(人口56万人)においてスマートグリッドの実証試験が行われており、この試験を足がかりに同国は世界のスマートグリッド市場の3分の1を獲得すると具体的な目標を立てています。

では日本はどうでしょうか? 長年に渡って「世界一」と評されてきた発・送配電系統の整備と信頼性ですが、先の東日本大震災による福島原子力第一発電所の事故をきっかけに事態は一変しました。現在、電力ピーク需要の抑制を目的として、スマートグリッドの導入の検討が本格的になされるようになりました。

一言で「スマートグリッド」といっても、エネルギー事情や発電、送電、配電の整備状況は国によって大きく異なります。したがって、スマートグリッドの導入する際の優先項目も国によってさまざまです。発・送電力自体が不安定な新興国では、新設備は全てスマートグリッドを前提となるでしょうし、先進国では電力需要を抑えることに主眼となるでしょう。