風という自然の力を利用してエネルギーを作る環境に優しい発電システム

風車を使った粉引きや灌漑の動力、あるいは帆船など風力は古くから様々なシーンで利用されてきた自然エネルギーで、世界で初めて発電に利用されたのは19世紀末のデンマークにおいてでした。そして今日、石油資源の枯渇や地球温暖化ガスの問題から、再び注目を集めるようになり、世界各地で風力発電の導入が推進されています。

風力を電気に変える技術

地球上の風は、赤道と北極・南極の温度差から生まれる熱対流によって生み出されます。気圧の差によって北半球では北東の風となる「貿易風」、西風となる「偏西風」が発生しますし、陸地と海面では太陽熱の吸収率が異なるため、昼の海風、夜の陸風が起こります。

これらの風からエネルギーを取り出すためには風車などのプロペラで風を受けて発電機を回すことにより、風→動力→電気という変換を行う必要があります。オランダの光景で思い出す4枚羽根の風車は有名ですよね。

風力による発電は無限に存在する自然エネルギーを利用していることと、発電の際に二酸化炭素を排出しないこと、そして他の発電設備と比較しても構築コストが安いこと、メンテナンスが容易であるなどのメリットがあります。また、太陽光発電と異なり、昼夜関係なく発電に利用できるというメリットもあります。

しかしながら、いくつかのデメリットもあります。まず太陽光発電と同じく、季節や天候に左右されるため計画的な発電ができないこと、エネルギー密度が低いため大規模な発電には適していないと言われています。まは、風車が回転する際の騒音問題や低周波が人体へ及ぼす影響の問題、巨大な風車がズラリと並ぶ姿は景観を損ねるという指摘も出ています。

風力発電は風→動力→電気と変換する際にエネルギーの損失が生じてしまいます。風→動力の段階で、風から取り出せるエネルギーは最大で59%(ベッツの法則)となっており、どのような高性能の風車でも限界があります。さらに動力→電気の段階でもエネルギーの損失があるため、最終的には風力発電全体の効率は、30%程度になってしまいます。

しかし、近年は、高性能のプロペラ風車が相次いで開発されており、約40%を電気のエネルギーに変換できるようになりました。高回転で使用する風力発電では、上の写真のように3枚羽根の形が効果的とされ、現在の主流となっています。

風がいつ吹くかは天候に左右されるため、発電設備は風の吹き方ひとつで発電が止まったり、定格一杯になったりします。そのため従来の発電所のように需要に応じて発電することはできません。電力の供給は常に需要と一致させる必要があるため、風力発電を利用する場合には、既存の火力発電とのバランスを上手く調整する必要がありますし、天候の変動に過不足なく対応するためには、更なる気象予測精度の向上も求められます。

また、風力発電は場所を選びます。年中安定して風があり、安全面や騒音等を考慮して、人家から離れた土地が最適です。さらにコスト面を考えると送電線が近くにないと困ります。そうなると山地が多く起伏の激しいうえ、国土が狭い日本では、クリアされなければならない問題は決して少なくないことが分かります。

近年は風の強い場所に大型の風力タービンを複数設置できるうえ、上記の問題もクリアできるとして「洋上風力発電」を採用する動きが海外で非常に活発になっています。日本と同じく海に囲まれた国家であるイギリスでは既に20万世帯分の電力をこの洋上風力発電によってまかなっており、将来的には約2,500万世帯(!)分もの電力をカバーすべく開発が進められています。。

日本でも洋上風力専用の固定価格買取制度の整備や電力会社間の系統の強化、浮体式風力発電の開発(日本の海はすぐに深くなるので、海外で一般的な着床式というシステムが使えない)などの問題がありますが、これらが整備されれば洋上風力は現実化を帯びてくるでしょう。