電力の供給だけでなく需要の変動にも対応するスマートグリッド

生活シーンのあらゆる場所で利用されている「電気」は、需要の変動を過去のデータ等で予測して、火力、水力、原子力など複数の発電所を組み合わせて運転しながら作られます。そして送配電系統を経て住宅や建物、工場などに送り届けられるのです。

デジタル技術で需要も制御が可能

「予想以上の猛暑でビール工場の稼働率を上げて対応する必要がある」などの理由で電力消費が大幅に増えることもあれば、それとは逆に「暖冬で例年に比べて暖かい日が続いたため、暖房器具が必要ないくらいだった」など電力消費が抑えられるなど、需要は変動します。

電力の需要変動は電力会社に電圧や周波数の変動として伝えられ、中央の制御室で発電、送電をコントロールして電力の需要と供給がマッチするように調整を行います。

従来の調整の過程では、手動で発電所のスイッチを切り替えたり、変圧器電圧を変えるなど行ってきましたが、これらをデジタル技術による自動操作に切り替えるのがスマートグリッドの大きな特徴です。

系統の隅々までセンサーを組み込めば、予期せぬ電力需要の変動にも即対応することができ、エネルギー効率も上昇すると考えられます。

欧米の送配電系統は40年以上に構築されてそのままのものが多いため、スマートグリッドで新しいものに取り替えるだけでエネルギー効率が10%上昇するといわれています。そのため欧米では信配電制御におけるデジタル化はスマートグリッド計画の中核となっています。

また、日本だけでなく海外の電力会社でも電力消費がピークに対応するための投資が大きな負担となっています。電力は貯めておくことができないため、常に電力消費に一致させる形で発電する必要があります。そのため、1年のうちの僅か数日、しかもそれぞれ日中や夜間の数時間のためだけに、各電力会社が2~3基分の原発を用意しなければならないこともあります。

ピーク時に動かす火力発電の燃料コストはスポット市場で調達される場合が多いため、値段が高くなり、最終的には電気料金を支払う私たちに転嫁されることなります。

スマートグリッドが整備されれば、こうしたピーク時にかかる投資や費用を抑制することも可能ですし、ひいては電気料金の抑制、火力発電への依存率低下による二酸化炭素の削減にも役立ちます。